
こんにちは。
リーデックス小川です。
2026年7月14日に、業務アプリ作成プラットフォーム「プリザンター」の最新版 ver.1.5.6.0 がリリースされました。あわせて同日、キューイング機能の不具合を修正したver.1.5.6.1もリリースされています。
今回のアップデートでは、大量データ処理や大量アクセスによるシステム負荷を軽減するキューイング機能とレートリミット機能が新たに追加されたほか、サイト設定のキャッシュ化によるパフォーマンス向上、メール送信時のプロキシ・TLS制御の強化、APIでのバージョン管理制御、画像貼り付け時のサイズチェックなど、安定運用とセキュリティを意識した機能強化が数多く盛り込まれています。
本記事では、ver.1.5.6.0 の主なアップデート内容とそのメリットをわかりやすくご紹介します。
プリザンターを業務で活用するための導入・設計・運用をご支援しています。
- キューイング機能の追加
- レートリミット機能の追加
- アクセスキャッシュ機能の追加
- Mail.jsonのメール送信設定パラメータの追加
- レコード更新・サイト更新API「新バージョンで保存」機能の追加
- 画像貼り付け時のサイズチェック機能の追加
- まとめ
キューイング機能の追加
キューイング機能(https://pleasanter.org/ja/manual/queuing-manage-jobs)は、負荷の高い処理を複数同時に実行せず、1件ずつ直列でバックグラウンド実行することにより、サーバの負荷集中を抑制する機能です。
なお、この機能は年間サポートサービスの上位プラン(ビジネス、ビジネスプラス、アンリミテッド)でのみご利用いただけます。

これまでは、複数の利用者が同時に大量レコードのエクスポートなど重い処理を実行すると、サーバに一気に負荷がかかり、タイムアウトや他の利用者の操作のブロックが発生することがありました。
キューイング機能を使うと、こうした重い処理はキューに登録され、順番に1件ずつ実行されるようになるため、サーバ全体への負荷集中を避けられます。
たとえば、複数のユーザーがほぼ同時に全件レコードのCSV出力を行っても、サーバ側では順番に処理されるため、システム全体の安定性を保てます。
利用するには、BackgroundJobs.jsonファイルの「BackgroundQueue」パラメータをtrueに設定し、あわせて出力ファイルの保存先パスを設定する必要があります。
設定後は、対応する機能から実行した処理が自動的にキューへ登録されるようになります。現時点で対応しているのはレコードのエクスポート機能で、今後対応機能が拡充されていくことが期待されます。
処理を実行すると、ジョブはただちにキューへ登録され、「待機」「実行中」「完了」「エラー」などの状態に遷移します。
待機中のジョブはキャンセル可能ですが、実行中になるとキャンセルはできません。
実行状況は「ジョブの管理」画面からいつでも確認でき、完了後は出力ファイルをそのままダウンロードできます。
レートリミット機能の追加
レートリミット機能(https://pleasanter.org/ja/manual/ratelimit)は、特定のユーザーやIPアドレス、APIキー単位で時間当たりのリクエスト回数や同時実行数を制御し、過剰なリクエストを抑制する機能です。この機能も、年間サポートサービスの上位プラン(ビジネス、ビジネスプラス、アンリミテッド)でのみご利用いただけます。
これまでは、意図しない大量アクセスやAPIの連続呼び出しによってサーバに負荷が集中し、他の利用者の操作が重くなってしまうことがありました。

レートリミット機能を使うと、一時的なアクセス集中はある程度許容しつつ、過剰なリクエストだけを事前に抑制できるため、特に利用者数の多い大規模環境で運用を快適にする効果が期待できます。
設定はRateLimit.jsonファイルで行います。動作モードは、機能を無効化する「Off」、超過を記録するだけの「LogOnly」、実際に制限をかける「On」の3段階から選択でき、まずはLogOnlyモードで実際のアクセス傾向を観測してから、閾値を調整のうえOnモードへ切り替えることが推奨されています。
制限方式には、通常の操作やAPI向けの「TokenBucket」、固定時間枠で制限する「FixedWindow」、直近期間で制限する「SlidingWindow」、同時実行数を制限する「Concurrency」の4種類があります。
設定した閾値を超えるリクエストが発生すると、Onモードの場合は「429 Too Many Requests」が返却され、リクエストが遮断されます。
制限はユーザー・IPアドレス・APIキーなどの単位ごとに独立してカウントされるため、特定の利用者だけを対象に制御しやすくなります。パラメータ管理機能を有効化すれば、画面上から設定値を編集することも可能です。
アクセスキャッシュ機能の追加
アクセスキャッシュ機能(https://pleasanter.org/ja/manual/table-management-enable-site-settings-cache)は、サイト設定(SiteSettings)をサーバのメモリ上にキャッシュとして保持することで、サイトの読み込みを高速化する機能です。
こちらも年間サポートサービスの上位プラン(ビジネス、ビジネスプラス、アンリミテッド)でのみご利用いただける機能です。
これまでは、画面表示やAPIリクエストのたびにサイト設定をデータベースから毎回読み込んでいたため、アクセスが集中する環境や項目数の多い大規模なテーブルでは、レスポンスに時間がかかることがありました。

アクセスキャッシュ機能を有効にすると、初回アクセス時のみデータベースを参照し、以降はキャッシュから読み込むようになるため処理を高速化できます。
APIリクエストからも利用でき、特にリンク項目を大量に使用する複雑な構成のサイトほど効果を実感しやすいとされています。
設定は、対象のテーブルを開き、ナビゲーションメニューの「管理」から「テーブルの管理」画面を開いたうえで、「全般」タブにある「サイト設定キャッシュ」の有効化オプションをチェックオンにすることで行います。
テーブルごとに個別に設定できるため、効果を確認しながら段階的に対象を広げていくといった運用も可能です。なお、本機能はExtensionsトライアルでも試用できます。
設定を有効化するだけでキャッシュが機能し始めるため、特別な操作は必要ありません。
テーブルの構成やアクセスパターンによって効果に差が出るため、有効化前後でのレスポンス速度を比較しながら見極めることが重要です。
項目数が多いテーブルや、リンク項目を多用したテーブルから優先的に検証していくと、効果を実感しやすいでしょう。
Mail.jsonのメール送信設定パラメータの追加
Mail.json(https://pleasanter.org/ja/manual/mail.json)に、メール送信ライブラリ(MailKit)が持つ「基本プロパティ」「プロキシ設定」「クライアント証明書」という3カテゴリのパラメータが新たに追加され、メール送信をより細かく設定できるようになりました。

これまでは、プロキシサーバを経由したメール送信や、通信に使用するTLSバージョンの指定、クライアント証明書による認証など、導入企業固有のネットワーク環境やセキュリティ要件に合わせた細かな制御ができませんでした。
今回の追加により、プログラムのコードを変更することなく、Mail.jsonの設定変更だけで各企業のメール送信環境に対応できるようになる点が大きなメリットです。
設定はMail.jsonファイルで行います。プロキシ経由での送信には「SmtpProxyType」「SmtpProxyHost」「SmtpProxyPort」などのパラメータを、TLSバージョンの指定には「SmtpSslProtocols」を、クライアント証明書による認証には「SmtpClientCertificate」を使用します。
パラメータの詳細な一覧や設定方法は、公式マニュアルで確認できます。なお、パスワードなどの機密情報は、設定ファイルに直書きせず、システム環境変数に登録することが推奨されています。
TLSプロトコルは、「Tls12」のように単一指定するほか、「Tls12,Tls13」のようにカンマ区切りで複数指定することも可能です。
クライアント証明書は、Windowsストア内の証明書をサムプリントなどの条件で検索する形で指定します。
たとえば社内メールサーバがTLS 1.2以上を必須としている場合は、利用環境に応じて「Tls12」または「Tls12,Tls13」のように使用するプロトコルを明示できます。
レコード更新・サイト更新API「新バージョンで保存」機能の追加
レコード更新APIおよびサイト更新API(https://pleasanter.org/ja/manual/api-item)に、更新内容を新しいバージョンとして明示的に保存できる「VerUp」プロパティが追加されました。
これまでは、API経由での更新時にバージョンを新しく記録するかどうかは、テーブル側の自動バージョンアップ設定に委ねられていました。

VerUpプロパティを使うことで、API呼び出し側から更新のたびに新バージョンとして記録するかどうかを個別に制御できるようになり、外部システムと連携した更新履歴管理がより柔軟に行えるようになります。
たとえば、外部の基幹システムから定期的にデータを反映するような連携では、重要な更新だけを確実に新バージョンとして残すといった使い分けが可能になります。
利用するには、レコード更新APIまたはサイト更新APIのリクエストに「VerUp」プロパティを追加し、真偽値(true/false)を指定します。
trueを指定した場合は必ず新バージョンとして保存され、falseを指定した場合、またはプロパティ自体を省略した場合は、レコード操作では「テーブルの管理」→「エディタ」の自動バージョンアップ設定に従って判定されます。
サイト操作の場合は、更新日または更新者のいずれかが異なる場合に新バージョンとして保存される仕様です。
たとえばレコード更新APIであれば、「/api/items/{レコードID}/update」宛てのリクエストボディに、他のパラメータとあわせて「"VerUp": true」を追加するだけで、その更新は新バージョンとして記録されます。
外部システムからバッチ処理でレコードを一括更新する際など、更新履歴を確実に残したい場面でこのプロパティを活用するとよいでしょう。
{
"ApiVersion": 1.1,
"ApiKey": "XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX......",
(中略)
"VerUp": true
}
画像貼り付け時のサイズチェック機能の追加

内容項目、説明項目、コメントに画像を貼り付ける際(https://pleasanter.org/ja/manual/binary-storage-json)、クライアント側とサーバ側の両方でファイルサイズをチェックする機能が追加されました。
これまでは、大きな画像ファイルを説明項目やコメントに貼り付けた場合、意図せずシステムに負荷がかかることがありました。
特に、GIFアニメファイルのようにデコードするとファイルサイズが大きく増大する画像を貼り付けると、サーバ側のメモリ使用量が急激に増大し、プリザンター自体が応答不可の状態に陥ってしまう恐れがありました。
今回の機能追加により、こうした事態を未然に防止できるようになります。
設定はBinaryStorage.jsonファイルで行います。サイズチェックは2つのタイミングで行われ、画像をサーバへ送信する前の時点でのチェックは「ImageUploadFileSizeLimit」で、画像をデコードする前の時点で、デコード後のサイズを見込んでチェックするのは「ImageDecodedSizeLimit」で、それぞれMB単位の上限値を設定します。
デコード前後でサイズが大きく変化するような画像ファイルも、この2段階のチェックによってあわせてフィルタリングできます。値をnullまたは0以下にした場合は、制限なしの扱いとなります。
設定した上限値を超える画像を貼り付けようとすると、「ファイルサイズが大きすぎます。」というメッセージが表示され、貼り付けがブロックされます。
HTTP 500エラーのような予期しないエラー画面にはならないため、利用者にも分かりやすい形でサイズ超過を伝えられます。
日々多くの画像が説明項目やコメントに貼り付けられる運用ほど、このチェック機能によるメリットは大きいと言えるでしょう。
まとめ
今回は、ver.1.5.6.0 の主なバージョンアップ内容についてご紹介しました。
キューイング機能やレートリミット機能、アクセスキャッシュ機能など、大量データや大量アクセスに強いシステム運用を支える機能が数多く追加されたほか、メール送信設定やAPIでのバージョン管理といった細かな制御も強化されています。
安定運用とセキュリティ強化を重視する組織にとって、価値の高いアップデートと言えるでしょう。年間サポートサービス上位プランをご利用の方は、キューイング機能やレートリミット機能もあわせて活用いただけますので、この機会にぜひバージョンアップをご検討ください。
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それでは、今回はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました。