
こんにちは。
リーデックス小川です。
DXを進める中で、「ツールを導入したから安心」と思ってしまいがちですが、実際には、システムを入れるだけでは変化は起きません。大切なのは、現場の人が自分たちで使いこなし、改善を続けられる環境をつくることです。
オープンソースのノーコードツール「プリザンター」は、誰でも業務アプリを作れる柔軟な仕組みを持っています。しかし、その力を引き出すには、現場が育ち、組織が強くなる“学び方”を整えることが欠かせません。
本記事では、プリザンターを活用しながら現場にスキルを根づかせ、継続的な改善を実現するための学びのステップを紹介します。
はじめに:DX推進の落とし穴
「ツール導入=終わり」になっていませんか?
DXの現場では、「システムを導入したから安心」と思われがちです。
しかし、実際に成果を出すには、日々の業務に合わせて“正しい使い方”を身につけることが欠かせません。
プリザンターは、テーブル作成や一覧設定などを誰でも直感的に行える点が魅力です。
ただし、設定の仕方ひとつで、後々の運用効率や運用ルールに大きな差が生まれます。
たとえば、リンクや計算式、サマリ設定の仕組みを理解していないと、データの整合性が崩れたり、「使いづらい」「更新されない」といった状態に陥ることも。
DXの目的は“システムを入れること”ではなく、“現場が使いこなすこと”です。
どれだけ良いツールを導入しても、使い方が定まらなければ改善は続きません。
人材育成が遅れると何が起きるか
ツールだけが先に広がり、人が育たないまま運用を始めると、「誰が見られるのか」「どこまで更新できるのか」といったルールが曖昧になりがちです。
結果として、現場での混乱やデータの重複が増え、“かえって非効率になる”というケースも少なくありません。
逆に、早い段階で操作や設定の基本を押さえておけば、トラブルを未然に防ぎ、現場が自立して改善を続けることができます。
DXを本当の意味で前進させるには、ツール導入と同じタイミングで“学びの仕組み”を整えることが欠かせません。
「現場主導DX」にプリザンターが強い理由
プリザンターは、現場が自分たちで業務アプリを作り、改善できるプラットフォームです。
一覧画面の見やすさを整えたり、通知やワークフローを設定したりと、「小さく作ってすぐ動かす」ことができる点が大きな特徴です。
ただし、その柔軟性を活かすには、“正しい型”を理解しておくことが大切です。ルールがチームごとに異なると、せっかくのツールが活かしきれません。
現場で成果を出すために、まず「学び方」を整える
ここまで見てきたように、DXを前に進めるには“ツール導入”だけでなく、それを“正しく使いこなせる人”を育てることが欠かせません。
プリザンターは、現場の業務を自分たちの手でアプリ化できる柔軟な仕組みを持っていますが、その力を十分に引き出すには、どんな順番で・どんな視点で学ぶかがとても重要です。
実際、「一通り触ってみたけれど、思うように活用できない」という声の多くは、操作そのものよりも“学び方の順序”が定まっていないことに原因があります。
そこでおすすめなのが、プリザンターの公式トレーニングです。初めての方でも無理なくスキルを積み上げられるよう、「基本操作 → 仕組み化 → 実践アプリ開発」という3つのステップで構成されています。
それでは、具体的にどんな流れで学び、どのような力が身につくのかを見ていきましょう。
成果につながる学び方(現場視点)
1日の学びで「使える」まで行く:ベーシック
プリザンターを初めて触る方におすすめなのが、基本操作を体系的に学ぶ“ベーシック”コースです。
テーブル作成やデータ登録、ビュー設定などの基本機能を、実際に手を動かしながら体験していきます。
特に効果的なのは、自社の業務を題材に“ひとつ置き換えてみる”こと。紙やExcelで行っていた業務を、小さなアプリとして実際に作ってみると、「作ったその日から動く」感覚が得られます。
この“動かしてみる体験”が、現場にプリザンターを定着させる最初の大きな一歩です。
難しいことを覚える前に、“動く喜び”を感じるところから始めるのがポイントです。
仕組み化を固める:ベーシックプラス
次のステップとなる“ベーシックプラス”では、画面カスタマイズや通知設定、アクセス制御などを中心に、業務を仕組みとして安定させる方法を学びます。
他のテーブルから顧客名や商品情報などを自動で呼び出せる「ルックアップ」と申請書や見積書などに連番を自動で付与し重複を防ぐ「自動採番」を活用することで、入力する人が毎回情報を探したり、番号を手動で管理したりする手間がなくなります。結果として、入力ミスや作業抜けが減り、データの整合性も保たれます。
また、これらを正確に学習することで、業務担当者とシステム管理者の間に“共通の言葉”が生まれます。
プリザンターの構造(テーブル・項目・ビューなど)を理解しておくことで、「この一覧は部署ごとに分けたほうが管理しやすいね」「申請が承認されたら自動で通知を出すように設定しよう」といった、運用フローや改善の仕組みを具体的に話し合えるようになります。
「どうすれば現場の流れがスムーズになるか」を現場とIT部門が同じ視点を持つことができるようになるため、プリザンターを活かしたチーム改善に大きく貢献することになるでしょう。
実務に近いアプリづくりで学ぶ:アドバンスド
集大成となる“アドバンスド”では、これまでに身につけた基礎・応用スキルを活かして、実際の業務を題材にアプリを構築します。
この段階では、たとえば申請から承認までの流れを自動化したり、ステータスの変更に応じて通知を出す仕組みを作ったりと、現場の業務をそのまま「動くシステム」に落とし込んでいきます。
また、ワークフローの分岐設定やアクセス権の管理、監査ログの活用など、運用を見据えた設計まで踏み込むのもこのステップの特徴です。実際に手を動かしながら、「業務を回す仕組み」を自分で作る感覚を体験できます。
ここで得られるのは、単なる操作スキルではなく、課題を仕組みで解決する視点です。
たとえば、エクセルで管理していた承認フローをアプリ化して、申請の抜け漏れをゼロにする──。そんな具体的な改善が、学びの延長線上で自然に実現できるようになります。
一度この感覚をつかむと、他の業務にも応用が広がります。「これもプリザンターでできるかも」という発想が生まれ、チーム全体が“仕組みを自分たちで作る”文化へと変わっていきます。
最終的には、プリザンターを単なる業務ツールとして使うのではなく、現場の知恵と改善を形にできる“自走型のプラットフォーム”として活用できるようになります。
現場の学びが、企業の力になる
ここまで見てきたように、プリザンターの公式トレーニングは、単に操作を覚えるための講座ではなく、「現場が考え、仕組みをつくる力」を育てる場です。
この“現場力の向上”は、実は経営面にも大きな効果をもたらします。ツールを導入しても、それを活かせる人がいなければ、改善は一過性で終わってしまいます。
逆に、社内に“仕組みを作れる人”が増えると、外部に依存せず、自分たちで課題を解決できるようになります。
次に、こうした教育の取り組みが、企業の力になる理由につながっていくのかを見ていきましょう。
教育が企業の力になる理由
プリザンターを活用し続ける上で、人を育てることが最も重要なことの一つです。ツールそのものがどれだけ優れていても、使いこなす人が育たなければ、改善は続きません。
社内で基本操作や設計の考え方を理解する人が増えると、日常的な設定変更や小さな改善は自分たちで進められるようになります。
ただし、それは「すべてを内製化する」という意味ではありません。
むしろ、社内に理解者がいることで、外部パートナーとの連携がよりスムーズになります。
たとえば、業務アプリの構造やアクセス制御の仕組みを社内側が理解していれば、
外部への依頼内容が明確になり、相談の質も高まります。
このように、教育は「内製力を高めながら、外部支援を効果的に使うための基盤」です。
自分たちで動かせる範囲を増やしつつ、専門的な支援は外部に委ねる――そのバランスが取れた体制こそ、最も安定した運用を実現します。
また、教育によって社内にプリザンターの構造や設計思想を理解する人材が増えると、
部署を超えて改善が再現できるようになります。
ある部署で作った「申請管理アプリ」や「作業記録アプリ」の仕組みが、他部署でもすぐに使える、こうした“横展開の速さ”が組織全体の生産性を押し上げます。
単なる操作スキルではなく、課題を整理し、仕組みで解決できる力も教育で育てることができる一つです。この力を持つ人が現場に増えることで、企業は変化に強くなり、外部支援との協働もより建設的なものへと変わっていきます。
まとめ
今回は、プリザンターを活かして現場が育ち、組織が強くなる学び方について書いてきました。
ツールを導入するだけではDXは進みません。本当に大切なのは、現場の人が仕組みを理解し、改善を自分たちの手で回せるようになることです。
プリザンターの学びは、その第一歩を支えるものです。正しい順序で学び、外部支援とうまく連携することで、現場が自立し、企業全体のスピードと柔軟性が高まります。
“ツールを使う力”ではなく、“仕組みを育てる力”を。それが、DXを長く続けるために大切なことだと思います。
弊社では、プリザンターの認定トレーナーとしてトレーニングを実施しています。プリザンターの基礎から応用まで幅広いラインナップを取り揃えていますので、プリザンター初心者はもちろんのこと、効率よくスキルアップしたい方にもオススメです!詳しくはこちらにありますので、気になった方はぜひご覧ください。
それでは、今回はこの辺で。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。