こんにちは。
リーデックス小川です。
今回はアドベントカレンダー2022年に掲載されるということもあり、2022年をリーデックス視点で振り返る記事を書きます。
実案件の内容をもとにしていることはもちろんですが、年々増えているお問い合わせから見えてくる、プリザンターの利用方法や期待されていることなどもをまとめますので、最後まで御覧ください。
- プリザンターの認知度がますます向上している
- オープンソースのローコード(・ノーコード)開発ツールとしてのプリザンター
- 有料ツールからの移行先としてのプリザンター
- 専用システムや基幹システムから移行先としてのプリザンター
- プリザンターの課題
- まとめ
プリザンターの認知度がますます向上している
まず、プリザンターの現状について軽く触れます。
弊社は2018年から4社目の公式パートナーで、今年で5年目になります。当初は「オープンソースのWebDB」として紹介していましたが、徐々に「ローコード」「ノーコード」の開発ツールとして生まれ変わってきました。
WebDBは、エクセルやアクセスの社内ツールの移行先として利用されてましたが、最近では中枢の業務アプリとして利用される事例や、それらの移行先としての相談が増えています。こちらについては後ほど詳しく説明します。
また、以下のような、有名なメディアにプリザンターの記事が掲載されたことも、認知度が上がった要因の1つかもしれません。
- 煩雑な“Excel管理”の乗り換え先として注目、ローコード開発ツール「プリザンター」に込めた想い (1/3)|EnterpriseZine(エンタープライズジン)
- エンタープライズが多数導入! インプリムのローコード開発プラットフォーム「プリザンター」が Azure を選んだ理由とは(Microsoft Customer Stories )
- ローコード/ノーコード開発市場で存在感を放つ ーOSSローコード開発ツール「プリザンター」を提供するスタートアップ、インプリムのこれから | Think IT(シンクイット)
さて、ここからは本題である、プリザンターの利用方法や期待されていることについて書いていきます。
オープンソースのローコード(・ノーコード)開発ツールとしてのプリザンター
プリザンターはローコード・ノーコード開発ツールとして有償ツールと引けを取らないぐらいの機能拡充がされてきました。この記事にたどり着いた方も、オープンソースで有償ツールと同じぐらい(それ以上?)豊富な機能に魅力を感じ、利用されているのではないでしょうか。
ノーコード開発ツールとしてのプリザンター
プログラムを使用せずにアプリケーションを開発できる「ノーコード開発ツール」としてプリザンターの機能が上がっています。「ノーコード開発ツール」とは、プログラミングせずにアプリケーションを開発することができるツールのことです。
テーブルの管理を確認いただくと、とても多くの機能が実装されていることがわかります。ちなみに、断言してしまいますが一番最初に必要な機能は「エディタ」です。
ここ最近の大きなトピックスとして「プロセス」「状況による制御」が実装されたことが挙げられます。
「プロセス」「状況による制御」とも、業務でよく利用する「ワークフロー」をノーコードで実装するための機能です。弊社でも、「ワークフロー」については多くのお問い合わせを頂いていました。
いままではスクリプトやサーバスクリプトでの実装が必要でしたが、テーブルの管理の設定で実現できるようになりました。
参考:FAQ:稟議申請などのワークフロー(承認プロセス)をサーバスクリプトで実現する | Pleasanter
ノーコードで実装することができるとは言え、ワークフローの処理については事前にまとめる必要があります。状況を変更できるユーザやグループを事前にまとめる必要が出てきます。
また、複雑なワークフローになると、サーバスクリプトでの実装が必要となりますので、注意が必要です。
FAQ:稟議申請などのワークフロー(承認プロセス)をプロセス機能で実現するより引用
ローコード開発ツールとしてのプリザンター
続いてローコード開発ツールとしてのプリザンターを見ていきます。ローコード開発ツールとは、予め用意されている部品や処理などを利用することで、0からの開発(スクラッチ開発)よりも素早く開発ができるツールのことです。
加えて、プリザンターは汎用的なWeb開発言語であるJavascriptとCSSでプログラムを実装することができるため、Web開発者であれば比較的簡単に始められる仕様になっています。
最近では、プログラムのクラス、ライブラリなどに加え、複数の環境のデプロイを用意にする開発ツールも提供されています(インプリム社が提供する年間サポート契約が必要となります)。開発ツール、というよりも、もはや、開発プラットフォームと言っても過言ではないかもしれません。
少し戻り、開発にフォーカスすると、下記のような仕組みを利用することができます。
- スクリプト・拡張スクリプト
- スタイル・拡張スタイル
- 拡張SQL
- サーバスクリプト・拡張サーバスクリプト
- 拡張HTML
- API など
スクリプト、スタイルはクライアント側(ブラウザで実行)されるもの、その他はサーバ側で実行されるものです。また、拡張とついているのは、画面ごとではなく、プリザンター全体に適用できる仕組みです。
細かくは割愛しますので、公式マニュアルやこのブログの他の記事を読んでいただければと思いますが、業務要件に合わせるように数多くの仕組みが備わっていることがわかります。
上記以外にも、プログラマではない人にも使いやすくなるような仕組み(EUC)ができると聞いていますので、期待したいですね!
有料ツールからの移行先としてのプリザンター
オープンソースで利用できるプリザンターは、同じような有償のツールである、kintone、デヂエやFileMakerなどからの移行先として検討されるお客様が増えています。
検討理由として、もっとも大きな理由は「大人数で利用したときのコストパフォーマンス」です。それぞれのツールにより課金体系や金額は異なりますが、一般的には利用ユーザや(プリザンターで言うところの)テーブル数が多いようです。
公式のサポートが終了する「デヂエ」の移行先としてご相談いただくことが増えています。デヂエも利用する費用は比較的リーズナブルなため、他の有償ツールへの移行に二の足を踏んでしまうとお伺いすることがしばしばです。
このようにプリザンターでは、オープンソース版を利用することで、人数に費用が比例せずに利用することができます。利用人数が増えてしまう、や、拠点間で利用したいなど、より威力を発揮します。
また、プリザンターのOEM版としてナレッジスイート社がSaaSサービスとして提供されている「Shelter(シェルター)」も、クラウドサービスながら人数制限がなく利用することができます。
専用システムや基幹システムから移行先としてのプリザンター
顧客管理システム、営業支援システムなどの専用システム、基幹システムからの移行先として検討されていることも多いようです。
- 専用のパッケージ製品がコストパフォーマンスが合わない
- 高機能すぎて使いこなせない
- スクラッチで作っているがエンジニアがおらずメンテナンスができない
などが理由のようです。
弊社のお問い合わせからお声がけいただくことが多くあり、
- 販売管理
- 受注管理
- 人事マスタ
- 調達管理
などで利用を検討しているとのことでした。プリザンターでもこれらのツールの代替手段としては利用することはできると思われます。
気をつけて頂きたいこととして、専用的な業務が多ければ多いほど、プログラムによるカスタマイズが発生し、スクラッチ開発と変わらなくなってしまうことです。
プリザンターは汎用的に利用できる反面、なにかに特化しているわけではありません。足りない機能は1から実装が必要になります。
専用ツールを利用するか、プリザンターを利用するかの見極めは難しいところですが、デモサイトなどでプリザンターを利用し、体感してみてください。
プリザンターの課題
では最後に、プリザンターの課題について2つ書いていきたいと思います。
一般的なデータベースや有償ツールにはない機能がある
いままで書いてきた通り、機能を拡充してきたプリザンターですが、もともとは
- データベースが簡単に構築できる
- データ管理する画面が自動的に出来上がる(設定でカスタマイズもできる)
ことが大きな売りです。
特に、エンジニアの方がプリザンターを利用すると、一般的なデータベースの代替としての利用を検討されていることもあり、プリザンターが不得意なところ(トランザクション処理やビックデータの管理など)についてのご質問をいただくことがあります。
プリザンターはオープンソースのため、自分たちで不足している開発することもできますが、公式のサポートが受けれなくなるため、トレードオフになります。
発想を変えると、オープンソースのため、汎用的であればこれらの機能を開発してGithubでプルリクすることで、本体に取り込まれる可能性もあります。取り込まれれば、バージョンアップ時にも考慮される対象となるため、チャレンジしても良いかもしれませんね。
また、ユーザ側としては、有償ツールでは簡単に利用できる
- 汎用的なグラフ表示
- ダッシュボード機能(こちらの記事も参照ください)
- 他のアプリケーションとの連携
- スマホアプリ化(レスポンシブは対応済みですが弊社でも提供していました)
などがプリザンターだと利用できないことが挙げられます。もちろんプログラム開発すれば利用することができますが、コストパフォーマンスが合わないとお伺いします。
上記のような拡張機能は、これからも課題であり続けますが、利用される方が増えることで、プリザンター本体への実装、取り込みや、弊社(リーデックス)のようなプリザンターの公式パートナーが実現してくれるかもしれません。
ぜひ、プリザンターを使い続け、広めていただければと願っています。
高度化、複雑化するセキュリティー要件を満たせるのか?
プリザンターは、オンプレで利用できるため、自社で利用する場合は比較的利用しやすいのですが、公共機関で利用する場合は、そこに即したセキュリティー要件を満たす必要が出てきます。
最近では「ISMAP」というセキュリティーの評価制度について耳にすることが増えてきました。
政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and Assessment Program: 通称、ISMAP(イスマップ))は、政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを予め評価・登録することにより、政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り、もってクラウドサービスの円滑な導入に資することを目的とした制度です。
特に、クラウドサービスとして提供となると、一気にハードルが上がるようです。上記一覧に審査に合格したクラウドサービスのリストがありますが、審査を通すための時間と費用がかなりかかるようで、SaaSサービスはまだ数が少ない印象です。
すぐに解決できる課題ではないので、これらの状況を見守って行くとともに、対策を検討していこうと考えています。
まとめ
今回は2022年のプリザンターを公式パートナーであるリーデックスの視点で振り返ってみました。プリザンターを利用してる方も利用を検討している方も、これからのプリザンターはますます発展していくと思います。公式サイトはこのブログで情報を発信していきますので、ぜひお見逃しのないようにお願いします!
弊社では、スクリプトやスタイルを利用したカスタマイズについてご支援させていただいております。スクリプトについて相談したい、業務を改善のために実現したい機能がある、や、本記事や過去の記事のスクリプトを応用したい、などありましたら、お気軽にお問合せください。
それでは、今回はこの辺で。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。